ミラクルクリームソーダ

いい加減にしてください

四ツ谷駅

 この季節になると思い出すことがある。

 

2年前の冬。

仕事帰り、丸ノ内線四ツ谷駅から中央線四ツ谷駅に乗り換える階段の手前。すれ違いざまにぶつかった人を私は無視した。そのまま階段を登った。後ろから小さく「あっ、すみません‥」という声が聞こえた。

一番なりたくなかった私になってしまった、と悲しくて仕方なかった。東京に来て、同じような状況で私が無視されることなんていくらでもあった。もはや振り返ってももう誰とぶつかったかもわからないくらい颯爽と人は去っていく。正直ちょっとムカついたけど、まぁそんなもんなんだろうなここはってなんとなく折り合いはつけたし、それでも自分はそこで立ち止まれる人間で有り続けなければいけないなと強く思っていたはずだ。

確かに当時仕事が特に辛くて仕方なかった時期だったし、ずっと脳内がグルグルグルグルしててあらゆる感情の感度が鈍りまくっていた。それでも、ついに「無視」をしてしまった自分が酷く汚れた人間に感じられてすごく凹んだ。

 

あの時、こんな簡単に「積み上げてきた当たり前」が破壊されてしまう「精神状態」とやらの重要性がなんたるかを学んだりもしたけれど、今もあの日の自分を思い出すと嫌になる。

 

いつもいっぱいいっぱいで独りよがりになりがちだけど、そういうところは絶対に守りたいし、誰かの礼儀や心を無下にすることだけは絶対にしたくない。周りの人に対しても、知らない人に対しても。